地球社会時代の到来が唱道されはじめてから久しいが、これに対応するグローバリズムの意識は、歴史的経緯もあって、日本人に広く共有されているとはいいがたい。日本人の世界意識・国際意識は、自国日本に関わる意識に強く規定されており、偏狭なナショナリズム、エスノセントリズム、国益主義といった、自国に関わる強固な意識が、日本におけるグローバリズム意識の発達を阻害していると考えられる。 以上に関連して、まず平成7年度は、日本における自国意識(ナショナリズム、エスノセントリズム等)と世界意識(インターナショナリズム、グローバリズム等)の歴史的な流れと、現在の世界状況において望ましい自国意識・世界意識のあり方が検討された。 これらの検討に基づき、大学生とその父母を対象とした予備調査がおこなわれ、大学生たちの世界意識・国際意識と自国意識の構造が検討され、日本人の世界意識と自国意識に関わる価値意識のダイナミクスを体系的に把握するための枠組みが作りあげられた。加えて、世界意識・国際意識と自国意識についての世代差、および、世代間における伝達の程度の検討もおこなわれた。 平成8年度は、上記で作り上げた枠組みにしたがって、全国の20歳以上個人1350名を対象に調査を実施、1023名から有効回答を得た(回収率は75.8%)。さらに、過去の調査との時系列比較をおこなうために、小規模ながら、首都圏30km圏で追加調査をおこなった。 これら調査の結果の集計・分析がおこなわれ、学生を対象とした予備調査や首都圏レベルでの調査で確認されていた世界意識・国際意識と自国意識の構造とダイナミクスの体系的把握がおこなわれた。また、対象は首都圏に限られるものの、世界意識・国際意識と自国意識の実態と構造についての、時系列的な検討がおこなわれた。
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