本研究は、ライフヒストリーの手法を用いて、高校教師文化と受験体制の関係性についての社会学的分析を行ったものである。研究対象になった高校教師は、34歳から70歳(インタビュー調査実施時)の19名の男子教師である。すべての対象者は以下のような3つの話題について、共通に触れている。 分析的知見 1.組合活動 (1)年齢層による違いがあり、45歳以上60歳以下の1960年代から70年代の「組合の時代」に教師になったものには、組合活動は重要であった。 (2)組合への関り方は、年齢を加えること、人間関係、勤務高校などで変化することがある。 2、学校文化 (1)「学校文化」は、それぞれの学校によって質的に異なり、多様な状況にある。 (2)多様な学校文化は、その特徴によって5つのタイプに分けられた。5つのタイプとは、「都市型高校」「伝統進学校」「新設校」「底辺校」「職業高校・定時制高校」である。この多様性を考慮せずには、高校の「学校文化」の総合的理解はないと論じられた。 3、個人的ライフヒストリー 高校教師はそれぞれ多様なライフヒストリーを持っているので、高校教師を画一的なものと見なすのは、現実的ではない。そこで、「組合活動志向」か「管理職志向」また、「生徒教育志向」か「専門学習志向」の2つの基軸によって4つのタイプに分けて論じると多様な高校教師のライフヒストリーの分析的理解が可能である。その4つとは、「教育志向管理職」「教育志向組合教師」「学習志向専門家教師職」「学習志向管理」であった。 以上、教師たちの「生の声」を出来るだけ引用し、現場からみた学校教育(当事者の視点)の社会学的分析を行った。
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