研究課題/領域番号 |
07451057
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
清水 新二 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・精神保健計画部, 室長 (40113493)
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研究分担者 |
高梨 薫 東京都老人総合研究所, 保健社会学部門, 研究助手 (60250198)
中田 洋二郎 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 室長 (20106214)
松永 宏子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 室長 (20106222)
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キーワード | アルコール / アルコール関連問題 / アルコール依存症 / 薬物依存 / 軽症化 / 入院治療 / 飲酒行動 / 社会問題 |
研究概要 |
平成9年度は平成7年度および8年度に実施した、1)全国病院調査、2)一般地域調査のまとめの作業を中心に進めた。 a)1980年、1990年、1995年、1996年の4年次にわたる全国8つのアルコール専門の精神病院調査結果について、平成8年度末に個別病院毎に年次報告書(研究成果報告書参照)を作成し配布してフィードバッグをはかった。さらに全国8病院(1731ケース)におけるカルテ検索調査の方法論に関する分析の結果、問診法のデータ確度は精々過去1,2年間が有効であること、さらにそれ以上年次を遡るカルテ検索法の場合には、事前に相当の項目検討が必要となることがデータ上示された。また時代と地域によってアルコール関連疾患の発現の仕方が身体的障害か精神神経的障害かの相違のあることが認められた。この点については、アルコール依存症患者の症状の上での軽快化傾向に加えて、80年代に大都市を中心に急速に展開したアルコール外来医療システムの確立の影響が大きいことが考察された。こうして患者像の変化に対応する治療プログラムの開発が望まれることが指摘されたこれらの研究成果は近々学術論文として投稿予定である。 b)一般地域調査 大阪市城東区の20〜60歳男性1030名を住民台帳からの無作為抽出によって抽出して、平成8年度に地域調査を実施した。面接可能標本は488であった。平成9年度は月例研究会をもちながら調査結果データを解析した。その結果、わが国では許容的な飲酒文化を反映して、アルコール問題は住民の間では社会問題ランキングの最低位に位置づけられていることがわかった。また、アルコール関連問題としては飲酒運転、未成年飲酒が最も早急に対策が講じられるべき深刻なアルコール問題であり、他方アルコール乱用による家族解体などは第二義的な位置づけであった。アルコール依存症者の回復可能性については、覚せい剤乱用者よりは高く評価されているが、シンナー少年のそれよりは低く評価されていることなどが判明した。 この一般地域調査については既に「アルコール・薬物医学会雑誌」と「アディクションと家族」誌にそれぞれ投稿済みで、前者は受理されている。
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