研究概要 |
本研究2年度は,研究協力者15名をの協力を得て,8編の論文を「情緒障害教育研究紀要16号1997年」(北海道教育大学旭川校障害児教育研究室発行)にまとめることができた。 函館地区では,おしまいコロニー地域療育センターにおいて,TEACCHプログラムによる診断と家庭・地域支援が始められ,幼児期療育ではおしまコロニーつくしんぼ学級でのTEACCHプログラム実践がさらに深められた。また,TEACCHプログラムによる福祉施設現場職員トレーニングの実際が報告された。北海道教育大学函館校障害児教育研究室は付属高等養護学校との共同研究として,自閉症青年へのTEACCHプログラム事例研究を行った。旭川地区では,障害幼児通園施設で引き続きTEACCHプログラム実践がなされ,小学校特殊学級においてもTEACCHプログラムを導入した個別指導実践が成果をあげた。また,各ライフステージの関係者を縦につなぐことによって,TEACCHプログラムのもつ一貫性を継続性を維持する組織作りの試みが始められた。石狩地区特殊学級のTEACCHプログラム実践も4年目,IEPの手法を導入した報告がなされた。 障害児学級でのTEACCHプログラム導入の有効性をほぼ確認でき,幼児期における障害幼児通園施設での有効性もすでに実践を通して示されている。福祉施設における導入に関して,本年度。施設職員対象のTEACCHプログラムワークショップの実際が報告され,全道規模での導入の道が開かれ,かつ各地の福祉施設で導入されつつあることが報告された。 2年度報告の成果は,TEACCHプログラムが学校教育においても有効であり,障害幼児通園施設,福祉施設での実践を加えて,すべてのライフステージでの有効性が確認できたことである。これからの課題は担当者の研修と地域の関係者のライフステージを縦につなぐ連携の確保であろう。
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