(1)京都大学総合博物館所蔵「都市文書」の調査と検討 博物館所蔵文書のうち、一乗院文書・東大寺文書・祇園町文書・上河家文書の調査を行った。一乗院文書・東大寺文書の調査は平成7・8年度の補足であり、これによって中世分までの詳細な調書がほぼ揃い、中世奈良の都市領主の活動を考える基盤が整った。上河家文書については調書作成・データベース入力・写真撮影を完了した。このほか、壬生家文書・大徳寺文書についても調書の作成を進めた。 (2)他機関所蔵「都市文書」の調査 博物館所蔵文書との比較のため、板倉家文書(国立史料館)・二条家文書(天理大学付属天理図書館)・大宮家文書(東京大学史料編纂所影写本)など、他機関所蔵の古文書を調査し、内容の検討と釈文作成を行った。 (3)鎌倉時代裁許状の集成と検討 昨年度に引き続き、鎌倉幕府以外の裁許状を『鎌倉遺文』から広く集めて、個々にその内容を分析し、月に一度の研究会で報告・検討を行った。 (4)前近代「都市文書」の通時的検討 研究代表者・分担者それぞれが先行する時代の「都市文書」について検討を進め、(3)の検討会の場などで発表・打合せを行い、共通認識の形成につとめた。
|