研究課題/領域番号 |
07451077
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
丸山 幸彦 徳島大学, 総合科学部, 教授 (50035317)
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研究分担者 |
北條 芳隆 徳島大学, 総合科学部, 助手 (10243693)
東 潮 徳島大学, 総合科学部, 教授 (70243673)
藤田 裕嗣 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (10181364)
平井 松午 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (20156631)
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キーワード | 新嶋庄 / 庄図 / 絵図 / 吉野川デルタ / 条里制地割 / 画像処理 / 庄・蔵本遺跡 / 常三島遺跡 |
研究概要 |
本研究の目的は、吉野川デルタにおける条里の復原作業を進め、古墳時代以後の開発過程を明らかにすることである。そのために、文献史学・地理学・考古学のそれぞれの立場から地図的情報を検討しつつ、流通の問題も視野に入れながら総合的に研究する点に特色を持つ。各々の立場に基づいた研究実績を要約すると、以下の通りである。1、いわゆる「新島庄絵図」は、古代の状況に関して豊富な情報を提供している。そこで、本図に記載された文字の検討・翻刻など、文献史学の立場からの基礎的な分析を進めた。さらに、流通の問題とも関連して、主に水上交通路との関わりから紀伊水道沿いに走る南海道支道を検討した上で、新島庄を構成する四つの地区のうち、今まで分析が不十分であった勝浦地区の所在地および成立年代を明らかにした。2、中・近世の地理学的データの収集・検討については、本研究に有用な近世の絵図が蜂須賀家文書に数十点レベルで新発見できた。そこで、35mmカメラによる撮影を進める一方で、ビデオカメラを用いた記録の効率化をはかっている段階である。さらに、主に国絵図を対象とした地図学的な検討に向けても、基礎的作業を行いつつ、コンピュータによる絵図の画像処理という新しい研究方法の可能性を探求している。3、考古学的な立場からは、絵図に描かれた条里界線との関わりを重視しながら、個々の発掘現場において遺構の検出を試みている。例えば、庄・蔵本遺跡、井戸跡の周辺地区に現存する地割は、条理制に規定されている。本遺跡では、遺存状態の良好な近世の水田、水路、壇、井戸跡などを検出でき、近世絵図との比較検討が可能となった。さらに、地形変化と開発過程を究明する上で有用な弥生時代の旧河道も発見され、条里制地割の施工年代を考察する重要な手がかりになると期待される。また、常三島遺跡は、近世初頭の徳島城下町建設以前における低湿地の状況に関するデータを提供している。
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