研究課題/領域番号 |
07451088
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
下條 信行 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20091233)
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研究分担者 |
田崎 博之 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (30155064)
村上 泰通 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (40239504)
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キーワード | 片刃石斧 / 伐採石斧 / 板状鉄斧 / 袋状鉄斧 / 〓 |
研究概要 |
平成7,8年度の調査で、石器の鉄器化は弥生前期末から中期初頭に扁平片刃石斧などの小形の片刃石斧の鉄器化から始まることが判った。その鉄器は表面が脱炭された鋳造鉄斧の破片の一辺を片刃に研磨したもので、その形状は片刃石斧に影響された物であり、この鉄器は九州を中心に一部瀬戸内海の東にまで広がっている。次いで、中期後半には、新たに鍛造鉄器が韓半島より伝来して、日本も鍛造鉄器に置き代わる。この置き換わり方が複雑で、地域によって転換の鉄器の種類、形態、質の善し悪し、代わる時期などが異なっている。これが日本的な転換の実体であるが、この実体を確定するため、再度中部高地、新たに東海や東北南部の調査を行い、補足的には関西、瀬戸内、北部九州の調査も行った。 その結果、石器から鉄器への転換の時期は、九州など鉄器受容の窓口であった北部九州など西に早く、列島を東に行くほど遅くなるなど「西早東遅」の地理傾斜があり、北部九州では中期後半から末、関西で後期中葉、中・東部日本では後期後半以後であることが判った。この地理傾斜は、単に鉄器があるなしのレベルではなく、より高度の袋状鉄斧か単純な板状鉄斧か、袋の作りの巧拙、鉄斧の厚薄などの技術差、質差を示す物であり、〓などは、大陸的か在地的かなどの先進性の違いを物語るものでもあり、その差は弥生週末においても継続されていたようである。これまで弥生後期の研究は石器の不在と言う側面からのネガティブ評価が主流であったのが、出土した鉄器そのものから石器と絡めて評価したポジティブ評価の最初の研究である。なお土器の研究では、凹線文土器は北部九州の中期後半から後期前葉に平行するとの新たな結果を得、地域間の時期比定にそう差が無いことが明らかになった。
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