研究課題/領域番号 |
07451093
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
大西 廣 国文学研究資料館, 整理閲覧部, 教授 (30011307)
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研究分担者 |
北村 啓子 国文学研究資料館, 研究情報部, 助手 (60204913)
山田 直子 国文学研究資料館, 整理閲覧部, 助手 (20151011)
土田 節子 国文学研究資料館, 整理閲覧部, 助手 (10132705)
岡 雅彦 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (20044729)
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キーワード | マイクロ資料目録データベース / 文学テクスト / 生成と受容 / 古典籍の分類法 / 歴史的ジャンル |
研究概要 |
本研究の課題は、国文学研究資料館が過去25年間に形成してきた「国文学文献マイクロ資料目録データベース」を活用し、文学テクストの生成と受容に関する包括的研究を行うことにある。三年間の研究計画の第二年目である平成8年度においては、初年度に整備したデータにもとづき、文学テクストの分類法の再構築の試みに入った。従来の日本の古典籍の分類法は、多くは書籍管理の視点に立ち、その一面において研究的視点を加味するといったものであった。しかも問題の研究的視点自体が、西洋あるいは中国の伝統的な図書分類の枠組をモデルとしたものであったため、日本の歴史の中で現実に生成し受容されてきた「内在的ジャンル」とでもいうべきものを十分に掬い取った分類であるとは言い難いところに問題があった。それを克服するべく、今年度の研究では次の二つの点に重点を置いた。 (1)歴史上のさまざざまな分類法を反省的に検討する。 (2)「マイクロ資料目録データベース」のとくに書名に着目し、書名中に含まれる語句の統計的処理・分析によって、テクスト間の有機的連鎖の状況を探る。 このうち、(1)については、初年度来収集してきた分類関係基礎文献を体系的に調査し、大きな問題点として、分類の編み目を構成する「物語」「説話」「随筆」等の概念があまりにも近代的なものでありすぎること、並びにすべての分類が一義的に定まることをむねとし融通性のきわめて希薄なものであることを確認した。(2)では、国文学研究資料館が「マイクロ資料目録」と同様、過去において構築してきた「著作典拠ファイル」を、マイクロ目録とリンクさせて調査することにより書名、の中の語句が、歴史的に生成してきた文学テクストを、近代的な分類を超えて縦横に結びつける有様を探るのにきわめて有効であることが明らかになった。たとえば、「聞書」「古状揃」「雛形」等の通常の分類では省みられなかった歴史的ジャンルが、この書名中の語句の検索の活用により体系的に浮かび上がってきた。来年度に向けて十分な成果が期待できると思われる。
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