本研究は『説文解字』収録の約1万字について「形・音」に関する情報の完全なデータベース化を図ったものである。データベース化の対象としたのは、「一篆一行本」(大徐本)、段玉裁の「説文解字注」、「江洸説文解字音均表」である。ソフトは「一篆一行本」を基本画面とし、「段注本」「江洸音均表」の画面とはそれぞれ同一親字でリンクしており、必要なデータが入力できるようになっている。文字フォントは「一篆一行本」の索引の文字を一部修正してスキャナで読み取り、フォントとした。段玉裁増加字・江洸増加字は新たに作成した。入力の内容は以下の通りである。(一部未入力のものがある) 一篆一行本:コード番号、四角号碼、部首、部首番号、部首内での順位、重文の有無、構成要素、読若のデータ、反切(又切・直音・又音)の上字・下字とその声母・韻母、声調、開合、等位。 段注本:コード番号、段注記載の部に関するデータ、字形異同の有無。(将来は「一篆一行本」と同じ項目のデータ入力も可) 音均表:コード番号、字形異同の有無。 このほか、研究者各自が必要に応じて情報を入力できるようになっており、研究者の興味に応じた他方面の研究が可能となり、漢字研究に寄与するところは非常に大きいと思われる。 なお、今回の「検索システムコード番号表」の完成により、「一篆一行本」「段注本」「音均表」の分類基準の違いがはっきりした。今後より多彩な情報の入力と、検索ソフトの開発により、より多様な研究成果が期待できる。
|