テーマ「現代英語のスタイル」について、本年度はとくに音声言語に重点をおいて研究を行った。英米人の自然な話しことばを購入した短波受信機などを活用して、ヴィデオテープおよびオ-ディオテープで収集し、そのデータを購入したコンピューターによって整理・分析を行った。とくにインフォーマルなレベルの話しことばの分析については、英国をはじめとする西ヨーロッパ諸国の先端的研究を知る上で、新たに購入した「現代英語のスタイル」に関する図書および資料はきわめて有益であった。 こうした資料を分析して判明した現代英語の音声面での特徴は、インフォーマルな話しことば、とくに対面式の会話についてみれば、音声上の同化(assimilation)および省略(elision)が際立ち、同化および省略の度合いは形式性の度合いと密接な関連を持つ。すなわち、形式性が低ければ同化および省略の度合いが高くなるという傾向が明らかに認められる。逆に形式性が高い資料においては、こうした音声変化はそれほど顕著には表れないことがわかる。こうした知見は日本人の英語教育に大きな示唆を与えることが期待される。 今後は、音声面に加えて語彙的および統語的側面から現代英語のスタイルの特質を分析して、現代英語の特徴を明示的に解明し、文体論の立場からの研究を進めるとともに、英語教育についてもその成果を援用して積極的な提言を行いたい。
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