研究課題/領域番号 |
07451099
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮下 志朗 東京大学, 教養学部, 教授 (90138610)
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研究分担者 |
廣瀬 浩司 東京大学, 教養学部, 助手 (90262089)
鈴木 雅雄 東京大学, 教養学部, 助手 (20251332)
松村 剛 東京大学, 教養学部, 助教授 (00229535)
池上 俊一 東京大学, 教養学部, 助教授 (70159606)
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キーワード | 中世文化 / ルネサンス文化 / 教父哲学 / 象徴 / 寓意 / 世俗文学 / 図像学 |
研究概要 |
中世・ルネサンス期フランスにおける学問的世界観と民衆的世界観の葛藤を浮き彫りにすることで、その時期に生きた人間の姿を総体として考察することを目的として研究を行い、以下のような成果をあげた。 1.CD-ROM化されたラテン教父全集を活用して、象徴と寓意の問題をめぐってなされた議論を徹底的に調査することで、古代末期から中世にいたる象徴・寓意の釈義の伝統を検証することができた。またこの過程で、アルクイヌス・ベトゥルス、ウェネラビルスなど広い範囲の教父文学について、従来の方法では推進しがたかった網羅的な検索が可能になった。 2.世俗文学の中で、象徴と寓意を問題にしている作品の分析を行い、ラテン語作品との様態の相違を検証した。とりわけ、宮廷社会の中での芸術作品の位置を中世・ルネサンス期に関して調査することにより、社会的な流行の問題、政治的利用の問題を検討した。これにより、純粋に哲学的・神学的レベルだけでなく、より低いレベルでの象徴や寓意の普及、ないし利用に光りをあてることができた。 3.図像資料を収集し、様々な作品の制作過程に注意を払いつつ、その作品に結晶した多様な権力関係の分析を行った。このことによって、図像を現実から遊離した史料とはみなさず、社会的脈絡の中に置きなおしたうえで、図像の象徴と寓意の政治的な要因を浮き彫りにすることができた。 以上のようにして、中世・ルネサンス期の社会の総合的理解を深めることができたと言える。
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