研究課題/領域番号 |
07451108
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
植田 和文 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (20094526)
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研究分担者 |
西谷 拓哉 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (80180610)
森本 まゆみ 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (90157925)
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キーワード | 多文化主義 / 都市文化 / 都市化 / 文化変容 / 多様性 / 大衆文化 / アメリカ映画 / アメリカ化 |
研究概要 |
現在の社会状勢を見ると、一方においては、民族の自立、民族間の抗争という差異化、多様化の傾向があり、他方においては、世界が政治・経済的にブロックとして統合に向かう傾向がある。そして世界は情報ネットワークで緊密に結ばれている。このような状況において、多民族からなる社会を、分裂の危機に陥らずにいかに統合するかが建国以来の課題であったアメリカ合衆国は、現代世界の一つの縮図であり、モデルケースであるとも言える。本研究はこのような観点に立って、初年度においては、諸民族をいかにアメリカ的な価値に同化させるかという「人種のるつぼ」的発想が、多くの異なった文化の調和的共存が未来の社会にとって豊かさであり強みであるという「多文化主義」(マルティカルチュラリズム)へ変化してゆくプロセスを主に考察した。次年度と3年度においては、アメリカ的価値観の成立、アメリカ社会の変化などを歴史的に検討するとともに、従来の歴史において抑圧されてきたマイノリティー(黒人、先住民、ヒスパニック、アジア系、女性)の視点を考慮に入れて、関連する多くの問題を研究した。この期間には研究者の内2名が、アメリカ合衆国へ1年間研修に出て、研究テーマについて、実地に見聞することができた。テーマに関連する問題が多岐にわたったため、研究の方向がやや分散してしまったうらみがあるが、最終年度には次の三点につき、研究成果を論文の形にまとめることができた。1.マイノリティー・グループとくにアフリカ系アメリカ人の平等をめざす運動の経過、および1990年代における状勢と多民族共存共栄への可能性。 2.差異が最も顕著に見られる都市における人間の心理、およびアメリカにおけるミステリ-(推理小説)の誕生と都市における人種・階級・性差との関連。 3.同一テーマを扱った西部劇(1946-1971年)の主人公像の描かれ方の差異から見たアメリカ社会の変化。
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