研究分担者 |
石川 達夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00212845)
原 正幸 広島大学, 総合科学部, 教授 (10092305)
成定 薫 広島大学, 総合科学部, 教授 (50110466)
齋藤 忠資 広島大学, 総合科学部, 教授 (30116587)
金田 晋 広島大学, 総合科学部, 教授 (50034591)
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研究概要 |
東洋と西洋における「空」のイメージ・シンボルの比較研究を行うために本年度はまず基礎的・原理的研究を中心として行った.その一方で地域的特色の研究も行った.次の8人の発表がなされ,問題点が明かになった. 代表者の水島は、「『万葉集』に見る空のイメージ」と題して,古代の日本の歌謡ならびに日本語における「空」のイメージと意味について考察した.また,『青空-フランス象徴詩と日本の詩人たち』を出版して,東西の文学における青空のイメージ・シンボルの比較研究を行った.加藤は中国における「空」と「天」のイメージの比較を行った.成定は「西洋と東洋の宇宙像」と題して,科学史的立場から従来の天空観を明かにした.原は仏教における「空」観について考察した.齋藤は古代のユダヤ教とキリスト教における天国観と近代のキリスト教の天国観を比較した.三木は中国の現代詩におけるフランス象徴詩の「空」の影響について考察した.石川は「アウステルリッツの空とは何か?」と題して発表し,トルストイとドストエフスキーの空のイメージについて比較考察した.青木は世阿弥の「空道」について考察し,能という伝統芸能における仏教と道教の影響について考察した. 以上のように,文学,宗教,言語,文学,科学史などの分野における「空」のイメージが歴史的に解明される一方で,「空」のイメージは各地域の仏教や哲学などと密接なつながりがあり,それがさまざまな形でシンボル化され,芸術などにおいて造形化されてきたことが明かになった. 来年度は,東洋と西洋の「空」のイメージ・シンボルの比較研究を行い,その独自性や影響などについて考察し,研究報告書を作成してその成果を公表する.
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