研究課題
基盤研究(B)
本研究においては、各参加者が分担し、以下の学問上のポイントについて一定の見通しと成果を得た。まず、有機農法運動、環境保護運動、反公害運動などへのフィールドワークに基づく1990年代の社会運動の動向の把握、非営利法人法の制定問題の考察、沖縄県民投票問題の現地調査とその政治学的意味の検討など、日本国内での、既存の政治アクターや対立軸とは異なる地点からの社会運動の活性化を確認するとともに、その運動が政治学に対して新しい理論的モデルを要請するものであることを明らかにした。また、日本との比較を前提として、現在のアメリカにおけるNPO(非営利組織)の研究、アメリカにおける1980年代前半の核兵器凍結運動の研究、あるいはポスト冷戦後の韓国における社会運動の研究をおこない、他国における社会運動の同時代的な位相および、国際政治動向との関係の密接度を検証した。さらに歴史的な流れとの連関については、西欧の歴史的動向をふまえつつ「市民社会」概念が再構成を迫られている現状と実際の社会運動との連動性、および現在の社会運動の動向を理解するために、近世後期から近代初期日本の民衆運動がもっていた論理の継承の側面が無視し得ないものであることを明らかにした。
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