研究課題/領域番号 |
07453003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高 哲男 九州大学, 経済学部, 教授 (90106790)
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研究分担者 |
中村 廣治 熊本学園大学, 経済学部, 教授 (30040778)
磯谷 明徳 九州大学, 経済学部, 助教授 (60168284)
田北 廣道 九州大学, 経済学部, 教授 (50117149)
関 源太郎 九州大学, 経済学部, 教授 (60117140)
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キーワード | 制度経済学 / 進化論的経済学 / 市場制度 / 社会進化論 |
研究概要 |
データベース構築については、各研究領域について個別的に作成作業を続けている。若干の変更、修正点は、実際の使い勝手をよくするために、データ項目数を予定より少なくしたことである。また今年度は、国内(学情センター)よりも外国、特にイギリスのCOPACをインターネットで使いながら、より広範かつ詳細な文献調査を試みた。 共同研究の面では、まず最近の経済学界における「法と制度」研究の成果を、進化論的経済学や制度経済学の研究動向を探り、共有することにつとめた。歴史的な制度形成、制度発展のプロセス、法と社会秩序形成などについて、旧制度学派、ネオ制度学派、新制度学派が持つ理論的特徴を明らかにした。社会システムとしての制度が持つ複合性に着目したヴェプレンのような社会進化過程の理論と、ウイリアムソン・コース流のいわゆる新制度学派がいう自生的秩序としての「市場制度」理論とでは、前提が異なるため、ストレートな接合はできないが、株式会社などの法的制度が持つ経済的役割に着目すれば、両者を関連づけられることが分かってきた。プロト工業化の研究史では、社会制度が持つ複合性に規定された多様な発展経路が摘出されると同時に、市場の発展を阻害していた伝統的な規制体系(=法体系)を国家の制度改革が破壊した点が強調されてきたが、ギルドなどの伝統的制度自身が市場経済の展開とともに自己変革を遂げてきたという事実が重要であり、新しい慣行=習慣=制度の発展過程の具体的な解明が不可欠であることが明らかになった。また、市民革命によって近代的な政治・法体系が成立しても、それは市場制度の発展を担う経済主体の形成・確立がなければ実質化しえず、したがって市場制度の形成とは、思考習慣が組み替えられていくプロセスと捉えられるべきだ、ということが明らかになってきた。
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