I.本研究の目的は、従来の意志決定分析がその基礎とする確率測度に代えて、より一般的なファジイ測度の基礎上で新たにファジイ意志決定分析を論理的に構成し、かつその政策的な適用のための方法を構築することである。 II.本年度の研究は、主として次の3点において行なわれた。 1.ファジイ測度を用いたファジイ効用理論の研究(MCDM国際会議で発表) 一般の数値的効用理論においては、確率測度による「くじ」法が用いられているが、ファジイ効用理論では「ファジイくじ」の概念が用いられることを示した。また、そのための基礎研究として、確率測度との対比においてその一般化としてのファジイ測度の特性についての研究をおこなった。 2.協力ファジイゲームの研究(MCDM国際会議で発表、および論文発表) (1)ファジイ提携の上で定義されたn-人協力ファジイゲームにおける最小コア、すなはち最大余剰を最小にする解とそれに関連する解、および集約された余剰に基づく解としての仁定義とその性質についての研究をおこなった。 (2)ファジイ協力ゲームをファジイ特性関数の構築の上に定式化し、パラメトリックプログラミングの形式で最適解としての仁をもとめる方法を提案するとともに、国際提携ゲームの構築問題へに適用を試みた。 3.コンピュータ支援意思決定のためのソフトウエア開発(進行中) われわれは既に多目的意思決定支援のためのコンピュータプログラムとして、MAPを開発しているが、このプログラムには不確実性下の意思決定問題に固有の確率評価などの要素が含まれていないので、この弱点を補うために、確率評価を含む意思決定分析のためのソフトウエア開発を行った。この研究は、ファジイ意思決定分析のためのソフトウエアの開発のための前段階として必要なものである。
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