研究課題/領域番号 |
07453014
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
寺本 義也 北海道大学, 経済学部, 教授 (30062178)
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研究分担者 |
嶺野 幸子 北海道大学, 経済学部, 助手 (30001837)
金井 一頼 北海道大学, 経済学部, 教授 (50142831)
小島 廣光 北海道大学, 経済学部, 教授 (80093029)
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キーワード | コ-ポレート・ガバナンス / ステ-クホルダー / 経営チェック / インターコ-ポレート・ガバナンス / 対外感度構造 / ガバナンスとマネジメントの統合 |
研究概要 |
我が国大企業のコ-ポレート・ガバナンスのあり方を解明するために、文献研究および企業の経営管理者との面接を含む事例研究を計画通り行い、つぎの知見を得た。1.企業のステ-クホルダーのうち最も影響力の強いのは販売先であり、労働組合や銀行の影響力は低下している。2.今後の経営チェックの主体としては、1位が監査役、2位が取締役、3位が会計士の順で、4位が労働組合、5位が機関投資家となっている。3.長期投資目的で保有する株式の株主資本利益率(ROE)や成長性を重視する企業が増大している。4.したがって、日本型ガバナンス機構を残しながらも、欧米型のガバナンスに近づいていくと予想される。5.日本型ガバナンス機構には、欧米にはない特徴が見受けられる。株式持ち合いや系列、企業グループといった現象は、個々の企業のガバナンスを超えた「インターコ-ポレート・ガバナンス構造」と呼ぶことができる。6.従来のガバナンス論は株主を中心としたステ-クホルダーの視点に立つが、ステ-クホルダーに対処する企業側の活動もガバナンスの枠組みに含めて考えることができる。インベスター・リレーションズや社会貢献等は「対外感度構造」と呼ぶことができる。7.企業の長期的発展を促すガバナンスのあり方を提言するためには、ガバナンスとマネジメントの統合が必要である。マネジメントの中心課題は環境と戦略との相互作用であり、ガバナンスをこの文脈から切り離して論じることは研究成果に乏しい。8.以上のことから、ガバナンスの理論体系は、(1)ステ-クホルダーの影響力や内部統制に関する「コ-ポレート・ガバナンス構造」、(2)マネジメントの中心課題である「環境-戦略構造」、(3)「インターコ-ポレート・ガバナンス構造」、そして(4)「対外感度構造」、の4つの概念によって構成され、これは郵送質問票調査のためのフレームワークとして活用できる。
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