本研究は、企業会計原則を見直し、改訂するためのパラダイムまたは基準である「日本版概念フレームワーク」を形成することを最終目標とし、(1)その出発点である「わが国の財務報告の目的」について、学会、公認会計士、発行体、アナリスト等にアンケート調査を実施し、かつその分析を行い、(2)これに基づいてわが国の財務報告の目的を明らかにし、かつ概念フレームワーク形成の方向づけと提言を行うことを目的としている。 アンケート調査項目を確定するためには、まずわが国企業会計制度を法制面と経済面の両面から分析することが必要である。このために、本年度は鋭意この研究を行うとともに、アルバイトを使って資料整理、文献調査・目録の作成を行い、かつ専門的意見の聴取などを活発に行った。 上記の分析研究の結果、最近の企業会計制度は、一方で、オプション、スワップ、先物取引、先渡し契約などのデリバティブ取引の急速な拡大により、他方でわが国企業集団のコングロマリット化、分社化、多角化、生産・販売拠点のグローバル化などの著しい進展により、変革を迫られていることが判明した。 したがって、デリバティブ取引および企業集団の会計問題を解決するためにも概念フレームワークの形成が急務である旨の提言を行った。この提言については、本様式8の11研究成果に示したとおりである。
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