本研究は、「企業会計原則」などの会計基準を見直し、設定するための基準である「日本版概念フレームワーク」を形成するための方向づけと提言を行うことを目的としている。 本年度は財務報告の目的についてアンケート調査を行う予定であったが、次の理由から研究方法を変更した。第1に、政府の日本版ビックバン構想にともないわが国企業会計制度が革命ともよべるほどドラスティックに変革され、「企業会計原則」の見直しがにわかに現実味を帯び、アンケート調査を行ってみても即応できないと考えられたこと。第2に、研究代表者による国際会計研究学会での統一論題報告およびその報告論文を契機に、大蔵省、日本公認会計士協会、経団連などの機関から「日本版概念フレームワーク構想」についての非公式のヒアリングを受け、公的機械において研究代表者を中心に「日本版概念フレームワーク」を形成する動きが生じてきたこと。第3に、アンケートを一部実施してみたものの、アンケート方式はその対象者、クエスチョネア-の作り方によってその結果が左右されるばかりではなく、概念フレームワークのような純理論研究には外界があると判明したこと。 したがって、本年度は研究方法を変更して日本版理念フレームワークの形成に関して、(1)「企業会計原則」をめぐる諸問題、(2)日本版概念フレームワークの効果、(3)その構想などについて理論的に明らかにし、各種の提言を行った。その提言については、本様式8の11研究成果に示したとおりである。また、日本版概念フレームワークの具体的構想については、3月15日に「企業会計原則と日本版概念フレームワーク構想」と題してシンポジウムで報告を行い、その成果を雑誌等で公表する予定である。
|