研究課題/領域番号 |
07454024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三宅 正武 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70019496)
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研究分担者 |
小薗 英雄 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (00195728)
小川 卓克 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (20224107)
中村 周 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50183520)
大沢 健夫 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (30115802)
青本 和彦 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (00011495)
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キーワード | 形式的巾級数 / ボレル総和 / 偏微分作用素 / テプリッツ作用素 / グルサ-問題 / ジュブレイ指数 / 熱方程式 |
研究概要 |
平成7年度に行った研究成果のもとに、平成8年度においても偏微分方程式における形式的巾級数解とボレル総和可能性についての研究を行い、以下に述べるような研究成果を挙げると共に、新たな課題が問題提起された。 偏微分作用素とテプリッツ作用素とのとの対応関係を明らかにすることにより、一般の偏微分方程式のグルサ-問題のジュブレイ族空間における可解性の問題がテプリッツ作用素のスペクトル理論に帰着される事を示した。これにより、従来知られていた最も一般的な、スペクトル半径の条件下での可解性の条件を大幅に改良できることが明らかになった。これは、解析的な偏微分方程式の研究において従来では最も基本的であると考えられてきた優級数の方法では適用出来なかったスペクトル理論の適用を可能にしたもので、将来のこの方向での研究の出発点になるものと考えられる。 さらに、発散級数解のボレル総和性について、最も典型的であると共に数理物理学で重要な熱方程式の発散級数解について研究を行った。この結果、常微分方程式においては、全ての発散級数解はボレル総和可能であるのに対して、偏微分方程式においては初期データについて条件が科されることが明らかになった。熱方程式の場合においては、その条件は古くからから知られている解の一意性を保証するものに他ならないことが明らかになった。また、ボレル和は熱核による積分表示で与えられること、即ち、古典的な解と一致することが明らかになった。この研究を通して偏微分方程式における新たな問題が提起された。それは、偏微分方程式の発散解のボレル総和可能性の問題は局所的な問題ではなく、局所解の無限遠への解析接続可能性の問題である。
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