研究分担者 |
谷 温之 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (90118969)
金井 雅彦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (70183035)
田村 要造 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (50171905)
前島 信 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90051846)
伊藤 雄二 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90112987)
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研究概要 |
本研究では数学の諸分野(特に確率論,エルゴード理論,微分幾何学,偏微分方程式等)の研究者により,確率論および関連解析学の研究を行った。 確率論の研究においては,(i)ドリフトを持つグラウン媒質の中の拡散過程の研究を行い,とくにその長時間後の振いの問題を,ストリングに関するKreinのスペクトル理論を用いることにより解決した。さらに,ドリフトが大きいときは中心極限定理が成り立つことが期待されていたが,(ほとんどすべての)媒質を固定した場合にも,その中の拡散過程に対し媒質依存のセンターリングを行うことにより中心極限定理が成り立つことがわかった。(ii)オペレーター自己相似過程の極限定理につき新しい結果が得られた。(iii)マルコフ過程の大偏差原理の精密な解析において,マルコフ過程の対称性を仮定して得られていた従来の結果を,非対称な場合にまで拡張することに成功した(田中,前島,田村)。 エルゴード理論の研究においては,主として,有限な不変測度を持たないエルゴード的変換の分類の研究が進められた。とくに,II_∞型,III型の変換の分類の不変量として現われるある種の整数の無限集合と,整数全体の直和分解A【symmetry】Bとの間の関係が数論的考察を通して明らかにされた。さらに,異なるレベルの多重再帰性を持つII_∞型変換の例が構成された(伊藤,他)。 微分幾何学の研究(とくに確率論的方法との関連において)では,多様体上の群作用の剛性定理の証明において確率微分方程式の理論の有効性が示され,新しい知見が得られた(金井)。 非線型偏微分方程式,とくに流体の方程式の研究において,非圧縮性のナビェ・ストークス方程式が取り上げられ、表面張力がある場合とない場合のそれぞれについてアプリオリ評価を詳細に行うことにより,時間大域解が求められた(谷)。
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