研究課題/領域番号 |
07454035
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池田 信行 立命館大学, 理工学部, 教授 (00028078)
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研究分担者 |
高山 幸秀 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20247810)
夏目 利一 立命館大学, 理工学部, 教授 (00125890)
山田 修宣 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066744)
荒井 正治 立命館大学, 理工学部, 教授 (20066715)
山田 俊雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (10037749)
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キーワード | 確率解析 / Wiener積分 / Malliavin解析 / 漸近理論 / Van Vleckの公式 / 磁場を持つSchrodinger作用素 |
研究概要 |
1。Wiener空間を基礎にしたMalliavin解析の枠組を用い、本研究の第一の目標であつたWiener積分に対するVan Vleckの公式を古典的なLagrangianに対応する場合のみならず典型的な多重Markov Gauss過程に関する確率面積の場合に池田が示した。後者はある種の非局所的なポテンシャルを持つFeynmanの経路積分に対する場合に相当する。さらにこの公式に現われるVan Vleck行列の構造をJacobi場の概念を用い経路空間の幾何学の立場から解析した。 2。これらの成果は量子力学において知られている2次のポテンシャルを持つFeynmanの経路積分が古典力学から導かれる量を用いて表現される事実の類似がWiener積分の場合にも成立する事を示している。これらの事実は色々の方法で証明することが出来るが、例えば2次のポテンシャルを持つFeynmanの経路積分の場合は作用積分を対角化する経路空間上の変換がJacobi場より定まることから示される。これに相当することがWiener積分の場合は測度の変換公式を用いて示されることを明かにした。 3。Van Vleckの公式はWiener積分で表される量の族の漸近評価の基礎になる。そのためには確率解析の一層の整備が必要で、池田、山田(俊)で進めている。漸近理論への応用、特に磁場を持つSchrodinger作用素の研究への応用はこれから解明すべき主要な課題として池田が分担者、荒井、山田〔修)の強力を得ながら進めている。 4。引き続く課題としてSelbergの跡公式やcompact semisimple Lie群の場合の熱方程式の基本解の表現等の古典力学における古典軌道やJacobi場を用いる解明が望まれる。 5。Van Vleckの公式をめぐる話は滑らかなWiener汎関数に関連しているが、滑らかでないWiener汎関数に関するWiener積分の漸近評価の問題については、境界を持つ領域における熱方程式の基本解のshort time asymptoticsに関連する成果を得た。この問題は本研究の目標の一つであったdiffractionの問題の解明に深く関わっている。
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