研究概要 |
矮新星は,典型的には数10日に一回の割合で数等級の爆発を繰り返している星である。矮新星の爆発の原因としては,当研究代表者が1974年に提案した「降着円盤の不安定性モデル」が現在世界的に広く受け入れられている。しかし観測的には矮新星の爆発の光度曲線にはいろいろのバライティがあり,これらすべてを「円盤不安定性モデル」により統一的に理解しようというのが,本研究の目的である。 平成7年度の研究としては,スーパーアウトバースト(超爆発)周期が極端に短い大熊座ER型という新しい型の矮新星を「円盤不安定性モデル」で説明することを試みた。まず最初に,超爆発周期が43日の大熊座ER星のシミュレーションを実行した.これは,当研究代表者が1989年に提案した大熊座SU型矮新星の「降着円盤の熱-潮汐不安定性モデル」に基づいた計算である。この計算では,伴星からの質量輸送率を色々変えて光度曲線を計算し,超爆発周期がどのように変わるかを調べた。その結果,質量輸送率が低い場合は周期は輸送率に逆比例するが,輸送率を段々上げて行くと,周期は約45日の所で幅広い極小値を取り,その後は逆に輸送率とともに超爆発周期が長くなっていくことが明らかになった。そして,この極小値に近い輸送率を採用した場合(すなわち通常の大熊座SU型の約10倍の質量輸送率を仮定した場合),このモデルは大熊座ER星の光度曲線を良く再現する事が分かった。 しかし,超爆発周期が最も短い19日の子獅子座RZ星を説明するにはなにか別のことを考える必要がある。ここでは,子獅子座RZは他の大熊座SU型の矮新星に比べて,超爆発時に離心楕円降着円盤が出来た際に降着円盤に働く潮汐トルクが小さいという仮定を置くと,小獅子座RZの光度曲線が説明出来ることが明らかになった。
|