研究概要 |
1 2型セイファート銀河の性質を知るために、10数個の銀河の観測、解析を行なった。その結果、2型セイファート銀河が2つのグループに分類できることがわかった。1つは、隠された活動的銀河中心核を持つもの、もう1つはそうでないものである。後者はスターバースト現象を伴った2型活動的銀河中心核(NGC1808, NGC1667, NGC1672, NGC5005)であり、可視光の観測で活動的銀河中心核に分類されているにも関わらず、X線ではこれらの銀河から活動的銀河中心核存在の証拠は得られなかった。むしろ、スターバースト銀河と同じであった。これは、可視光が銀河の活動性を分類するのに適当でないことを表しているのかもしれない。(NGC1808は現在PASJに投稿中)。一方前者は、偏光分光観測でbroad linesが見つかっている天体、[OIII]で明るい天体であり、これら全ての天体から隠された中心核を発見した。このことは、活動的銀河中心核の統一モデルの強力な証拠となる。また、中心核を隠している物質の厚さは10^<23>cm^<-2>を中心に分布することがわかった。宇宙X線背景放射の説明に大きな影響を与える。 2 活動的銀河中心核の統一モデルで説明できないことの1つに2型QSOの未発見がある。Mkn463E、Was49bは2型QSO候補と目されていたが、観測の結果、そのX線光度は10^<43> ergs/sとQSOと呼ぶにはあまりにも小さく、弱い中心核を持つ2型セイファート銀河であった。これらの銀河はdouble coreを持った銀河で、現在銀河の相互作用の最中にあると考えられる。この様な銀河はAGNの進化のシナリオに照らし合わせると、まさにAGNが形成されていく途中の段階の銀河である可能性が高い。(Mkn463Eは現在PASJに投稿中) 3 スターバースト銀河M82の解析を進めており、この銀河で見られるスターバースト現象と活動的銀河中心核に付随したものを比較検討する予定である。
|