研究概要 |
1 軽核実験結果の解析:平成7年度核研電子シンクロトロンで実施したガンマ・ヘリウム核反応ρ^0生成実験のデータ解析を進め、π^+π^-不変質量分布を求めた.更にそのデータに現象論的解析を適応することにより,これまで知られていなかった閾値近傍でのρ^0の光生成機構を決定し,その質量・巾を決定した.この結果以下の結論が得られている. (1)1GeV近辺でρ^0がコヒーレントに生成されることが初めて実証できた. (2)決定したρ^0質量・巾の値は自由空間での値と同じであることを検証した. (3)インコヒーレントなρ^0生成も存在することを示した.この場合の質量決定を進めている. 2 炭素核実験の実施:平成8年度は前方に集中し多重度の高い電磁過程を除くため,高速トリガーを導入,データ収集速度の向上を図った後,炭素核からのρ^0生成実験を実施した.軽核に較べ高いQED過程に起因するバックグランドがあったが、測定装置の改善により克服した.データ解析が進行している。 計画当初に比べ、更に多くの理論的研究(質量減少の大きさに違いがある)が発表されている.それにも関わらず,実施されたρ^0質量測定実験は本研究のみである。この意味で、カイラル対称性回復の兆しを探す本研究は一層その意義深めている。研究は当初の計画に従い、TAGX(タグ・エックス)共同研究グループの協力を得て順調に進行している。軽核でのρ^0生成についての結論が得られつつあることは本研究を進める上で大きな励みになっている。
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