研究実績の概要を交付申請書に記載の「研究目的・研究実施計画」に対応させて報告する。まず、本研究の目的は、CERNにおいて原子核乾板を用いたミューオンニュートリノとタウニュートリノ間の振動測定実験を遂行するにあたり、ミューオンニュートリノによるニュートラルカレント反応で生成されるパイ中間子と原子核乾板とのホワイトスター反応が我々の研究対象であるタウ崩壊のバックグラウンドになる可能性があるため、ホワイトスター反応の発生頻度、振る舞いを調査することである。以下に、本年度の実施計画を時間的に列挙する。 (1)原子核乾板のテストモジュールの制作とそれのビーム照射を行い原子核乾板標的の形状を最適化する。 (2)原子核乾板を保持しかつ乾板中の入射粒子数密度を一定に保つために必要となる、乾板を移動させながら照射するための台座を制作する。 (3)この台座に高精度飛跡検出器を合体させたシステムを制作する。 (4)データ読みとり回路によるテストやこれらの制御などに必要なソフトウェアの整備および原子核乾板標的などの全体を完成する。 (5)KEKにおいてパイ中間子を照射しデータを得る。 (6)照射終了と同時に原子核乾板を現像し、顕微鏡による測定の準備を完了する。 (1)から(4)までは、本年度中に順調に完了された。しかしながら、高精度飛跡検出器、データ読取回路および関連したソフトウェアの購入期間が、予定より余分に3ケ月要した。このため、今年度中に、(5)と(6)の両項目を遂行することが不可能になった。しかし、これらの作業は、来年度に継続され、容易に完了される見込みである。
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