研究概要 |
実験方法全体について詳細なシミュレーションが行われ,実験可能性が確認され,またビームラインやスペクトルメータについても細かい検討や計画の改良が行われた.懸案であった非常に接近するπ^+π対事象については,新しいトリガーロジクスを用いることによって解決されることがわかり,そのための論理回路の設計,試作を始めた.またそれに必要な非常に薄いdE/dxカウンタについてもテストを行った. この実験との鍵となるトポロジカルトリガーデバイスについては,ビームを用いてのテストと解析を繰り返し,製作素材,方法,非隣接ファイバーとのクロストークを減らす方法等の点でほぼ満足すべき結論が得られた.以上を総合して開発した技術をもちいてハドロニック原子の寿命測定実験の実行を可能にするに十分な性能をもつトポロジガルトリガーデバイスをつくれることがわかった. また高密度粒子束中での高速トラック数計数についは専用のピークセンシング回路を試作し,ビームを用いて良い結果が得られたため,海津製作所に依頼して,来年度のビームテスト用に1/3プロトタイプに必要な個数を製作した. さらに今まで開発してきた開放型の光電子倍増管においてダイノード厚100ミクロンのプロトタイプが完成し,性能評価を行った。製作上の問題から高圧が1500Vしかかけられないが、軌道計算のシミュレーションとの良い一致が見られ、ほぼ予想通りの位置、時間分解能が得られた。これによって次のプロトタイプ製作のための必要な改良に関する知見が得られた.
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