研究概要 |
1.Ba_<1-x>K_xBiO_3の電気化学合成法による単結晶がカリウム含有量xの広範な値について半導体領域から超伝導領域まで作製されて、超伝導特性および常伝導状態での帯磁率のx依存性および温度依存性が実験的に明らかにされ、その解析を現在行っている.2.BaPb_xBi_<1-x>O_3の励起子吸収スペクトルがPb濃度のx=0からx=0.16までの単結晶について測定された.スペクトル形状は間接型励起子吸収の主量子数が1および2以上のものの重ね合わせとして表せることがわかった.この解析から間接ギャップエネルギーはPb濃度が増加するにつれ減少すること,また室温から低温に向かい増加すること,励起子結合エネルギーもPb濃度が増加するにつれ減少し,また室温から低温に向かい増加することが明らかになった.ギャップエネルギーの減少は電気抵抗の活性化エネルギーの減少に対応していることがわかった.ギャップエネルギーの減少は誘電率の増加をもたらし,励起子結合エネルギーを減少させていると考えられる.したがって,たんにPb濃度を増加させ,ギャップエネルギーを減少させるだけではエキシトニック相を実現することはできないと思われる.3.BaBiO_3のRF周波数での誘電率の測定から,試料厚さに逆比例する周波数でピエゾ共振が見いだされた.中性子散乱などによる構造解析によると、中心対称をもつ結晶構造とされてきたが,それは誤りであることになる.赤外格子振動スペクトルにおいては変位型のソフトモードは見あたらないので,ペロブスカイト構造のこの結晶において,どのようにして中心対称が失われているかは興味ある問題といえる.
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