研究概要 |
(1)BaBiO_3の中赤外吸収スペクトルに,主量子数が1の間接励起子吸収及び主量子数が2以上の間接励起子吸収を見いだした.主量子数が2以上の間接励起子吸収の立ち上がりの付近が間接エネルギー間隙値に相当し,電気抵抗の活性化エネルギー値の2倍に対応していることがわかった.これらによりBaBiO_3の電子構造は間接型エネルギーギャップを有する半導体として理解可能であることがわかった.(2)BPBにおいてはPb濃度が増加すると一旦エネルギー間隙値が増加した後,減少していくことが見いだされた.これはBi^<3+>及びBi^<5+>バンドの幅が減少した後,Pb^<4+>のバンドが広がりその下端がBi^<5+>バンドの下端よりさらに下に位置するようになるためと解釈される.(3)BKBにおいてはKの増加と共にエネルギー間隙値が減少し金属半導体転移のK濃度でゼロになることや,Kをある程度ドープした半導体試料ではエネルギー間隙値が減少してフォノンの吸収との谷間に位置する狭くなった光学窓領域が構造相転移の後,低温相で更にエネルギー間隙値が減少し光学窓領域が無くなってしまう現象が見られた.(4)BaBiO_3の間接励起子は1000cm-1程度の励起エネルギーであるので,BKBやBPBのように固溶体化してエネルギーギャップが小さくなると励起子の励起エネルギーは更に小さくなって熱励起が可能となる可能性が出てくる.しかしながらBPBの場合,誘電率が増加して結合エネルギーが減少してしまい励起エネルギーは思ったよりも小さくならないことが分かった.(5)BaBiO_3の間接励起子が関与する別の興味深い現象に光学フォノン吸収の温度変化がある.光学フォノンの光学伝導度スペクトル積分強度は総和則により一定のはずが高温で大きく減少する.一方,間接励起子吸収は大きく増加する.これは間接励起子のエネルギーが低いため光学フォノンと達成振動を行っているためである.
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