研究概要 |
本年度は以下の項目について研究を行った. 1.クラスター作製装置 従来のガス中蒸発装置に改良を加え,励起状態の希ガス原子雰囲気中でのクラスター作製装置を試作した.この装置は,希ガス励起用電極を装備している.この電極に十数V以上の電圧を印加することにより,微粒子の形成の行われるルツボ上の空間で,励起Ar電子を効率よく生成できることが確認できた. 2.空間分解発光スペクトルの観測 空間分解スペクトル測定および資料の評価のためのラマン分光を迅速に行うために,CCD検出器を新たに購入した.GeのArガス中蒸発を行いながら,ルツボの中心軸を含む面内で発光スペクトルを測定し,ルツボ周辺における励起Ar原子及び励起Ge原子密度の空間分布を求めた. ●Geの発光は,Arの発光が生じる場合にのみ観測される. ●Geの発光の分布はArに比して局在しており,ルツボ上約10mmより上では急速に減衰し,同時にGe_2が観測された. これらの結果より,Geは励起Ar原子との衝突により励起され,その後拡散過程で急速に冷却されると同時にGe dimerを形成するという,クラスター生成の初期過程に関する知見が得られた. 3.ガス中蒸発(He中アーク放電)により生成されたカーボンナノチューブのラマン散乱 炭素クラスターのラマン散乱を測定し,ナノチューブのフォノン状態における有限サイズ効果を見いだした.
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