研究概要 |
ガス中蒸発雰囲気中の励起Arが、クラスター生成過程においていかなる役割を果たし,生成した微粒子の構造や物性にどのような影響を及ぼすのか.それを調べるのが本年度の目的であった.そのため,発生スペクトルおよび質量分析のその場測定を行って,クラスター形成の初期過程の機構を解明しようと試みた. 1.透過型電子顕微鏡によるGe超微粒子の粒径分布測定. 基盤上に堆積したGe微粒子の粒径を電顕像から測定し,粒径分布ガス圧依存性の定量的評価をおこなった.Arガス圧1〜4TorrでGe微粒子の平均粒径は2〜10nmをとり,ほぼガウス分布にしたがっていることが確認された.この粒径分布には,励起Ar雰囲気中で作成した場合でも大きな変化は認められなかったが,基板上での微粒子の捕集量がこの場合には著しく低下した.基板と荷電微粒子とのクローン反発など,電極電位の印加に伴う作用と考えられるが,今後装置上の改善が要求される. 2.空間分解発光スペクトルの観測および解析. Ge原子・イオンの励起が,励起Ar原子からのエネルギー遷移よるものであることが,種々のArガスの励起(グロー放電)の条件下での発光分光を行うことで明らかになった.現在,Ar,Ge原子の発光強度空間分布から,励起原子やイオン等の空間密度や温度等の定量的評価を試み,Ar-Ge間のエネルギー遷移機構等の分析を行っている. 3.質量分析による分子,イオン種の同定. 本年度の設備備品として購入した四重極質量分析計を用いて,微粒子過程の気体の組成分析を試みた.これによりGeの2量体および3量体の分布密度を定量的に知ることができ,クラスター形成の初期過程がわかる.現時点ではガスの局所サンプリングに困難があり,ルツボ直上の活性領域での分析には成功していない.
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