研究概要 |
容量型の磁歪セルを用いれば、高精度の振動磁歪の測定が可能である。容量はブリッジ法で計測するので、原理的に入力パワーがゼロでの測定が可能であり,極低温での計測に適している。また、音響dHvA効果と同様に振動磁歪の測定も磁場変調法を用いないので、振動強度の精密な磁場方位依存性の測定が可能である。回転可能な容量型磁歪セルの開発に成功し、^3Heクライオスタットでの振動磁歪の実験を開始している。電極間隔の微調は、回転プローブを上面フランジから挿入することにより解決した。自動キャパシタンスブリッジ(Andeen-Hargering社、250型)を用いた超高感度振動磁歪測定系の試作を進めている。希土類モノプニクタイドLaAs,LaBi,CeBiやUSbなどの音響dHvA効果の研究が精力的に進めた。特に、小数キャリアー系であるCeBiでは、p-f混成模型で予言されていた、重いホール面の存在を確認した意義は大きい。キャリアー数が0.2%/Laと極めて小さなフェミル面をもつLaAsの音響dHvA効果の実験を行ない、体積歪みを伴う縦波超音波で測定された電子一格子相互作用定数は通常金属と比較して10倍以上増強されていることが明かとなった。重い電子系超伝導体UPd_2Al_3,UPt_3 CeRu_2,CeCo_2などの純良単結晶が育成されており,次年度も音響dHvA効果および振動磁歪の研究を推進し,強相関電子系での電子一格子相互作用と超伝導の起源を研究する。
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