研究概要 |
スーパークリーンリミットにあると考えられる高温超伝導体の超伝導状態でのホール効果に対して本年度は、(1)微小ホール素子による局所磁場測定、(2)マイクロ波による表面インピーダンス測定の面からアプローチした。 (1)微小ホール素子による局所磁場測定 これまでPrinccton大学グループのみが報告している高温超伝導体の臨界状態での局所磁場プロファイルのホール効果による回転の有無を確認するため、我々がこれまでに開発してきた微小ホール素子を用いた局所磁場測定装置を改良し、低温・強磁場下における臨界状態での局所磁場プロファイルの精密測定を行った。これまでのところ4.2Kまでの測定では、外部磁場の符号を変化させたときの局所磁場分布転回は観測されなかった。 (2)マイクロ波による表面インピーダンス測定 準粒子の寿命を正確に評価し、非常に特異な性質である高温超伝導体のスーパークリーンリミットを直接に検証するため、マイクロ波表面インピーダンス測定装置を強磁場下での測定ができるように改造した。予備観測を行ない、フラックスフローによる特徴的な表面抵抗の磁場変化を観測した。 また、これら実験の前提となる良質の高温超伝導体をYBa_2Cu_3O_7については金坩堝を用いたフラックス法により、Bi_2Sr_2CaCu_2O_8については赤外線加熱単結晶成長装置を用いて単結晶成長した。YBa_2Cu_3O_7についてはT_c=92K△T_C=0.5K,Bi_2Sr_2CaCu_2O_8についてはT_c=90K△T_c=1Kの大変良質な結晶を得ることに成功した。
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