研究課題/領域番号 |
07454079
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
堀 秀信 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (20028244)
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研究分担者 |
古沢 昌宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (00251976)
本河 光博 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30028188)
栗栖 牧生 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (00161753)
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キーワード | TbNiSn / DyNiSn / GdNiSn / 磁気抵抗 / 磁場誘起相転移 / 強磁場 / 強磁場磁化 |
研究概要 |
希土類金属間化合物であるRNiSn型結晶を使って、本研究の目的である「磁性と電気伝導の間の関連性」を明らかにするため、この系統の結晶の磁場誘起相転移に伴う磁化と磁気抵抗の観測を中心とする研究を行った。この研究で定常磁場は東北大で23Tまで、強磁場磁化は阪大極限物質研究センターのロングパルスマグネットを使って35Tまで測定した。温度範囲は4-ヘリウム温度から室温に至る範囲でおこなった。試料はTbNiSn,DyNiSn,GdNiSnである。希土類金属がTb及びDyの時は磁場の増加に伴って数段のステップ磁化が観測された。またこの各相が表れる各磁場領域それぞれにやはりステップ状に変化する電気抵抗の変化が観測された。この結果次のような幾つかの著しい特徴がみられる。 1)電気抵抗の増加は必ずしも誘起磁気モーメントの増加とは一致せず、磁気モーメントが増加するにも関わらず磁気抵抗が減少する場合もある。この理由は現在明らかになっていないがスピン揺動が各磁気相によって異なり、その磁場依存性も異なるからではないかと思われる。 2)磁気抵抗の大きさは温度によって特異な変化を示すことが観測された。例えばDyNiSnの飽和直前の相において、4.2Kではそのすぐ低磁場の磁気相の抵抗より高いステップ状の抵抗を示す一方、1.5Kでは、これ以外はそれ程大きな変化しないのにもかかわらず、この相に限っては逆に低いステップ状の変化にかわる。またTbNiSnの低磁場から2つ目の相は、わずか1.5Kと4.2Kの変化で他の相はせいぜい2‐3割の変化しかしないにも関わらず、約4倍の抵抗の増加をする、等の事がある。 3)磁気抵抗の正負は一般に物理的意味を強く反映するものと考えられる重要な性質であるが、この系統の結晶のある磁気層では温度や相によって大きく違ってくる。特にTbNiSnは他の相では特に目立った磁気抵抗の正負の変化は見られないが、低磁場から第二相目だけは、1.5Kで正の磁気抵抗なのに4.2Kでは大きい負の磁気抵抗を示す。 現在これら磁化の変化と磁気抵抗の磁場、温度特性がどの様に関連し、変化するかのデーターを集積している所である。次年度はこれらの原因を究明することが中心となろう。
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