I.銀銅合金ビッターマグネットの開発 銀銅合金は純銅に比べ約2.5倍ほど応力に強い材料であり、かつ電気伝導も大きくは損なわれておらず、ビッター板材料として期待できる素材である。銀銅合金(50%-50%)材料の引っ張り強さは約70kg/mm^2であり、実用上約30Tの磁場の発生に耐えられるものと考えられる。昨年に引き続き同材料を使用した中性子散乱用パルスマグネットの開発を継続した。その結果、連続運転で25Tに耐えるマグネットの開発にほぼ成功した。この磁場は超伝導マグネットで達成できる17T(実用上)を十分に凌ぐもので、世界的に見てもユニークな中性子実験が可能となろう。更に、研究室レベルの実験室では繰り返しによる測定で、非常によい精度の磁化測定、帯磁率測定等の道も開け、強磁場下の各種物性測定に大きな展開をもたらすことが期待できる。また、本研究では上記のように強磁場発生パルスマグネットの開発に勢力が集中し、課題名の多重極限の実現は今後の課題として残された。 現在、同パルスマグネットを利用した、中性子散乱実験が進行中である。
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