| 研究概要 |
本研究では,分子性溶液イソ酪酸+水系と,洗剤に代表される界面活性剤ミセル水溶液系の両者について,流動と相転移との動的カップリングに起因する諸効果、主にそのレオロジー的挙動を相分離濃度ドメインの位相差及び蛍光顕微鏡観察とその画像処理,流動下光散乱実験,及び粘性率の測定から調べた。また,静止下でのミセル溶液系について,動的クラスターモデルに基づく解析を行い,この種の超分子構造を含む,いわゆる“複雑液体"の2液相転移点近傍での動的性質を普遍性の立場から調べた。この調査は,流動下でこの種の複雑液体の挙動を明かにする上でも不可欠な実験的研究である。
イソ酪酸+水系の臨界組成溶液を用いて,シェア流の下での相分離濃度ドメインからの前方散乱パターンを画像解析し,それらの濃度ドメインからの散乱がPorod則に従うことを見い出した。この流動下濃度ドメインはズリ速度を大きくするに従い,極端な異方性を示すようになる。本研究では,この種の濃度ドメインを含む流動下での見掛けの粘性率を温度の関数として調べた。得られた結果から,流動下2液相分離溶液の見掛けの粘性挙動が,両相ドメインの界面におけるズリ応力のバランスと濃度ドメインの時間発展を考慮して計算されたOnukiのレオロジー方程式に従うことが分かった。一方,界面活性剤ミセル溶液を用いて,熱力学的不安定領域に移行された2液混合系の異方性散乱と見掛けの粘性挙動を調べた。ズリ速度Sの下で,熱力学的準安定及び不安定領域に移行されたときの粘性は,移行後の時間t【similar or equal】S^<-1>で極大を示し,その後時間とともに減衰し,定常値に至る。この定常状態での粘性の温度依存性もまた,温度と濃度の広い範囲でOnukiのレオロジー方程式に従うことが分かっ
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