研究分担者 |
松本 聡 秋田大学, 鉱山学部, 講師 (40221593)
日野 亮太 東北大学, 理学部, 助手 (00241521)
松澤 暢 東北大学, 理学部, 助教授 (20190449)
海野 徳仁 東北大学, 理学部, 助教授 (30004477)
堀内 茂木 東北大学, 理学部, 助教授 (00004490)
|
研究概要 |
平成8年度に引き続き、中禅寺湖周辺域に有線・無線テレメータによる臨時地震観測網を設置した.また新たに観測フィールドに設定した鬼首地域に有線・無線テレメータによる地震観測網を設置するとともに,オフラインのイベントレコーダによる稠密地震観測網を展開した.これらのデータを用いてS波反射面の検出及び空間分布の推定,P波及びS波速度構造トモグラフィ,地震波減衰構造トモグラフィ及び地震波異方性構造の推定を行った.その結果,以下のことが明らかになった. (1)マントルウェッジ内に,太平洋プレートとほぼ平行に傾斜して分布し,活火山直下まで達する地震波低速度域は,地震波減衰構造トモグラフィでも高減衰域としてイメージングされた.すなわち,マントルウェッジから地殻を経て活火山直下まで達する低速度・高減衰の火山の根-マントルダイアピルが明瞭に描き出された. (2)鬼首地域下では,このマントルダイアピルから連続するように,地殻中でこの地域に分布するカルデラ構造に対応して低速度域となっている. (3)S波反射面は地殻中深部に検出され,その空間分布を見ると,カルデラとカルデラをつなぐ領域に分布する.1996年鬼首地震(M5.9)はその直上のseismogenic zoneで発生しており,これらの不均質構造と密接に関連していることを想定させる. (4)鬼首地域においてS波のスプリッティングから推定される異方性構造では,広域応力場の最大圧縮軸方向と平行にS波の速い振動方向が卓越することがわかった.これはクラックの面が,その方向に並んでいると解釈すれば説明できるものである. (5)マントル最上部の地震波低速度・高減衰域-マントルダイアピルの分布,地殻中の温度構造,S波反射面の分布,低周波微小地震の分布等は,火山の根に対応する異常構造を反映するもので,これらと地殻上部で発生する内陸地震とが密接に関連していると推定され,それを説明するモデルを提案した.
|