1.浅海域での地殻熱流量測定を可能とする、自己浮上式海底熱流量計の製作を行った。まず海底温度記録計部分、および音響切離装置部分を設計・製作し、7年11月に東京大学海洋研究所淡青丸の航海において、海中での温度計測と音響切離の動作試験を実施した。測定状態モニターのための音響パルスの周波数を変更する必要があるが、基本的な機能には問題がないことが確認された。 2.上の結果に基づいて、これに接続する温度プローブ部分の設計を進めた。8年度の前半には、試作品を温度記録計、切離装置と組み合わせての設置・回収、及び温度勾配測定の試験を計画している。 3.上記の淡青丸航海において南海トラフ東部での熱流量測定を実施したが、底質・海況等の条件のために質のよいデータが得られなかった。8年3月には、東京大学海洋研究所白鳳丸の航海において、銭洲海嶺付近を中心に熱流量測定を行い、西南日本の下に沈み込む四国海盆の温度構造について情報を得る予定である。 四国地域において、熱流量測定に使用できる孔井を捜すためのアンケート調査を実施した。利用可能と思われるものが数地点見つかったため、8年度に測定を実施すべく、孔井の所有者と折衝中である 四国の四万十帯の典型的な砂岩・泥岩試料について放射性発熱量を測定した結果、他の沈み込み帯の前弧域に比べて有意に高い値を示すことが明らかになった。
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