研究概要 |
本年度は,日本列島及びその周辺域に於ける地殻運動と地殻内テクトニック応力蓄積過程の三次元モデルを一つの閉じたシステムとしてコンピューター内のバーチャル空間に構築することを目標として研究を行ったが,高速演算・画像処理システムの納入が遅れたこと,そのセッティングに手間取ったこと等の理由で当初の目標を完全には達成できず,以下の成果を得るに留まった. 1.モデリングの対象領域として,東経140度,北緯35度を中心とする2500キロメートル四方をとり,この領域内の地図,地形,重力,地殻構造,震源分布等の基礎データの収集を行った. 2.上記の基礎データ(特に,地形,地殻構造,震源分布)から日本列島周辺域のプレート境界面の位置と形状を決めるインバージョン解析の手法を開発した. 3.プレート境界面上のステップ的な単位のすべりが引き起こすプレート内応力場の時間変化(三次元粘弾性応答関数)の効率的な計算プログラムを開発した. 4.グローバルなプレート運動モデルに基づき,隣接する各プレート間の相対運動ベクトルを決定した. 以上の成果を踏まえ,平成8年度は,日本列島及びその周辺域に於ける地殻運動と地殻内テクトニック応力蓄積過程の三次元モデル構築し,第四紀の地殻運動、プレート内の広域テクトニック応力の蓄積過程、プレート境界でのテクトニック応力の蓄積・解放・緩和過程を明らかにする予定である。
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