研究概要 |
「地球や惑星になぜ磁場が存在するのか?」は,未だに解明できていない地球惑星科学上の大問題である.その解決のためには,膨大な計算を必要とする,そして,非常に複雑な振る舞いをする3次元MHDダイナモ問題を精度よく解かなければならない.これまでは,磁場や速度場をポロイダル・トロイダル分解し,それらのスカラー関数を球面調和関数及び三角関数に展開して数値計算を行ってきた.しかしこの方法では,計算効率があまりよくなかった.また,局在する磁場の扱いにも問題が残った.そこで,本研究では,3次元MHDダイナモ計算専用の並列計算機を構築し,本格的地球惑星ダイナモの数値シミュレーションの実現を目指した. 並列計算機として,トランスピュータを採用した.これはMIMD(Multiple Instruction-Multiple Data)型・メモリ分散型の並列計算機であり,並列計算に必要となるトランスピュータ間のデータ転送のための接続をソフトウェアで行うことができる.計算対象領域となる回転球殻内に格子点を取り、解くべき方程式を差分化した.そして,計算領域を分割して個々のトランスピュータに割り当てることによって計算を並列化し,計算時間を短縮することを試みた.極となる回転軸上の点での差分化の問題解決のために,スカラー関数を軸対称成分と非軸対称成分とに分けた.そして,効率的な計算を行うための条件(球殻の分割の方法など)を得るために回転球殻内の熱対流の数値計算を行なった.今後は,本研究を契機として,本格的な3次元MHDダイナモの数値シミュレーションに取り組む予定である.
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