昨年度設置した神津島及び式根島の地震計により、群発地震の記録を多数収集した。とくに97年1月には、これまでほとんど地震の起こっていかなった利島の近海で群発地震(最大地震M3.9)が起こりはじめ、これら一連の地震の記録を収集することができた。 近地データの波形解析について、これまで用いてきた手法(やや長周期成分を用いてメカニズム解を決め、次にP波初動の変位記録を用いて震源時間関数を決めるという手法)の安定性・信頼性を確認した。 利島近海の群発地震について、予備的な波形解析の結果によると、神津島近海の地震群とはあきらかに応力軸を異にする横ずれ断層であることがわかった。現在、群発地震の始まりから収束時までの波形記録を整理し、メカニズム解と震源時間関数を求めつつある。これにより応力降下量が時間的に変動しているか、神津島近海の群発地震のように過去何度も繰り返し起こっている地震群と比べて応力降下が高いか、といったことを検討中である。
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