研究概要 |
研究代表者らは、日本の南極観測隊や水産庁の海洋観測データの解析から、南極発散域(Antarctic Divergence)が、東西500km,南北200km規模の低気圧性海洋渦の列から構成されており、それら渦は、低緯度からの周極深層水の湧昇と沿岸域で生成した低温で高密度の水の移流とによって形成することを示した(Wakatsuchi et al.,1994)。また、その海洋渦が定常的に存在する場所に対応して、冬にはポリニヤが存在することを見い出し、両者に大きな関連があることを指摘した。本研究では、以上のデータ解析による研究成果に基づいて、南極発散域内部の3ケ所(オーストラリア南方)に流速計の係留系を設置した。1ケ所の流速計1台は既に回収され、現在データを解析中であるが、残り2ケ所の計6台の流速計は本年(1996年)3月日本南極観測隊によって回収される予定であり、また係留系を設置した周辺の海洋構造については、本年1月〜2月東京水産大学海鷹丸に乗船し、既にCTD,化学成分などのデータを得ており、現在解析中である。
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