研究課題/領域番号 |
07454111
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
永田 豊 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80011493)
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研究分担者 |
小池 隆 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60093126)
関根 義彦 三重大学, 生物資源学部, 教授 (40211320)
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キーワード | 北太平洋中層水 / 塩分極小 / 表層水の沈降 / 水塊変質 / オホーツク海 / 亜寒帯海域 / 気候変動 / 高塩分水 |
研究概要 |
平成8年度においては、昨年度に引き続き最近の北太平洋やオホーツク海での観測資料の解析を中心に中層水の生成・変質の過程を調べてた。特に北太平洋の中層水の起源となる高密度の水の生成域であるオホーツク海北西部の塩分収支に関しては、昨年度の結果をさらに改善し、アムール河からの淡水供給の影響を検討した。また、伊豆海嶺を挟んでの中層水の性質の差について、勢水丸による観測を加えて検討し、亜熱帯太平洋の南西部にある古い比較的高塩分の中層水が、黒潮によって最終的な中層水の生成域である混合水位域へどの様に運ばれ、中層水の形成に関わるかを検討した。この点に関しては、モデル計算との結合について種々の検討を行ってきている。また、中層水ではないが、その上層の主温度躍層のすぐ上に見いだされる高塩分水(塩分極大)の動向を紀伊半島沖合域において解析した。この解析には日本海洋データセンターが収録している過去の観測資料を利用させてもらった。この結果、塩分が34.5以上の水の出現確率はそれ以下の水のそれに比べて著しく少なくなるが、35.0以上の水もこの海域に出現することが決して珍しくないことが示された。今後、このような塩分極大や塩分極小水の解析を通して、中層・亜中層の循環の性質を明らかにしていくことは、十年ないし数十年規模の気候変動の予測のために、必要であると考えている。また、中層水の生成・変質には塩分収支が本質的な役割を果たすことが示されたが、このことは今後の研究に反映させるべく努力する予定である。今年度はこの研究に対する科学研究費補助金の最終年度にあたるので、今までに得られた結果をまとめて、報告書を作成した。
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