太陽風の三次元構造やそのダイナミックスを研究するには、飛翔体観測は、時間・空間分解能は優るが、観測可能な領域が極めて限定されている。一方、惑星間空間シンチレーション(IPS)が観測できる領域は、太陽極く近傍から可能であるが、観測値は、地球と電波源を結ぶ視線上の情報を荷重積分したものであるために空間分解能が悪く、測定値はバイアスがかかっている。本研究では、計算機トモグラフィー法を用いてIPS観測値の持つバイアスを取り除き、観測値を真の値に近づける方法を開発する。これによりIPS観測の特色を活かし、猶且つ空間分解能を上げることが可能となる。 本研究課題の初年度は、地球-電波源を結ぶ視線が太陽風中をどの様に横切って行くのか、そのgeometryを考慮した速度の二次元図を作成する方法を開発し、この二次元図よりさらに視線積分効果を除去するトモグラフィー法を開発した。これらの解析方法を用いて、低速太陽風の非一様分布を解析し学会及び研究会発表を行った。 トモグラフィー解析の精度と効率を上げるために、短期間により多くのシンチレーション観測ができるように、現有設備の受信機を低雑音化し感度を上げる等の強化を行った。
|