研究概要 |
(1)丹沢山地北西部から御坂山地にかけて,前年度に続いて調査を続行した.詳細な岩相解析により御坂山地が衝突付加した前弧-火山弧-背弧リフトのセットからなることが明らかになった.また,丹沢地塊衝突前に存在していたトラフ充填堆積物についても堆積相解析を実施し,その実態を明らかにした. (2)南部フォッサマグナ地域で最初に衝突付加した櫛形山地塊に分布する水中火山砕屑岩類についての詳細な堆積相解析を行い,御坂地塊の大部分を構成しているのが再堆積ハイアロクラスタイトや重力流堆積物であり,櫛形山地塊は火山弧そのものでないことが明らかになった. (3)藤野木-愛川構造線以北の地域において,放射年代が確定している岩脈類を採取し,その古地磁気の測定を実施した.その結果,2Ma以前の岩脈には最大で34度時計周りの回転を示しているものがあることが分かった.この結果は平成7年度の予察的結果と一致している. (4)これまでの研究結果を総合して南部フォッサマグナに分布する地層の起源を島弧の衝突テクトニクスとの関連で明らかにできた.特に衝突付加した櫛形山や御坂山地については衝突付加した島弧システムのどの部分であったかも具体的に明らかにできた.また,トラフ充填堆積物については,衝突付加に伴って上方粗粒化シークエンスを示していることを具体的な堆積相の変化として捕らえることができた.
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