研究課題/領域番号 |
07454120
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
金川 久一 千葉大学, 理学部, 助教授 (40185898)
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研究分担者 |
高橋 奈津子 千葉大学, 理学部, 助手 (50261897)
廣井 美邦 千葉大学, 理学部, 教授 (40019427)
伊藤 谷生 千葉大学, 理学部, 教授 (50111448)
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キーワード | 延性剪断帯 / マイロナイト / 花崗岩 / ハンレイ岩 / カンラン岩 / 化学反応 / 変形集中 |
研究概要 |
本研究は、地殻中部、地殻下部、及びマントル最上部の延性剪断帯でそれぞれ形成された花崗岩マイロナイト、ハンレイ岩マイロナイト、カンラン岩マイロナイトについて、マイロナイト形成に対する化学反応の影響を系統的に評価することが目的である。今年度開始した本研究のこれまでの成果は、以下に要約される。 1)阿武隈山地畑川破砕帯において、弱変形花崗岩からウルトラマイロナイトに至る連続的な定方位試料を採取し、微細構造変化、鉱物組成変化及び全岩化学組成変化を調べた。その結果、花崗岩のマイロナイト化の進行に伴い、カリ長石がミルメカイトへ分解して生じた、細粒の反応生成物に剪断変形が集中する微細構造が認められた。鉱物組成と全岩化学組成も、マイロナイト化の進行に伴い系統的に変化しており、カリ長石の分解反応の進行と調和的である。 2)日高変成帯において、グラニュライト相ハンレイ岩マイロナイト〜ウルトラマイロナイトの連続的な定方位試料を採取し、微細構造観察を行った。その結果、ハンレイ岩マイロナイトの形成には、斜長石の動的再結晶に加えて、斜方輝石及び単斜輝石が輝石と角閃石へ分解して生じた、細粒反応生成物への変形集中が重要であることが明らかとなった。 3)日高変成帯において、斜長石レールゾライトのマイロナイトの定方位試料を採取し、微細構造、鉱物組成、鉱物化学組成、全岩化学組成などの解析・分析を行った。その結果、カンラン岩体の上昇過程でスピネルレールゾライトから斜長石レールゾライトへと転移した際に、スピネルの分解反応によって生じた細粒の斜長石集合層に変形が集中してマイロナイトが形成されたことが、明らかとなった。 このように、地殻中部〜最上部マントルに及ぶ広範囲の条件下で、反応生成物に変形が集中する傾向が認められたことは画期的な成果であり、また本研究計画の正当性を裏付けるものである。
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