研究概要 |
本研究の目的は、西南日本の主要な付加体の形成機構,弱変成作用及び形成発達史の解明を主とし,あわせてニュージーランドの付加体(試料採集済み)と幾つかの接触変成帯についても比較検討することにある。研究手法としては,野外調査を基調にして,数多くの岩石薄片の観察,炭質物のX線分析による結晶度(d_<002>値)と顕微測光装置による反射率(Ro max)の測定,そして関連試料のK-Ar年代を多数測定することにある。本年度の研究実績及び成果は下記のとおりである。 1.本研究経費の主体をなすライツMPV-2コンパクト(ライツ・オルトプランに設置した顕微測光装置)に関して,千々和と西村が石炭および泥質変成岩中の炭質物の反射率を測定する方法を検討し、その方法論をほぼ確立した。来年度は本年度採集した試料について,具体的な成果を挙げることが,可能となった。 2.西村は中琉球地域,九州西部地域,長崎県野母半島地域,山口県玖珂地域の付加体(広域変成帯を含む)を調査し,有効な岩石試料を採集し,それらの岩石薄片を作製した。また,九州西部地域と長崎県野母半島地域については、数多くのK-Ar年代を測定し,新知見を得た.その一部は,平成8年4月開催の日本地質学会で報告する予定である。来年度は中琉球地域について,具体的な成果が得られる見通しがついた。 3.今岡と西村は山口県須佐地域と青海島地域の接触変成帯を調査した。前者については,十分な成果が得られ,平成8年4月開催の日本地質学会で報告し,岩鉱に投稿する計画である。 5.板谷は高知県安芸地域の付加体を調査した。また西村との共同研究で,ニュージーランドの付加体の再結晶白雲母について、多数のK-Ar年代を測定し,十分な成果を得た。
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