研究概要 |
本研究は3年目を終了し,計画どおりの成果をえた。本年度の具体的な成果の概要は,下記のとおりである。 1.初年度に新設したライツMPV-2コンパクト(ライツ・オルトプランに設置した顕微測光装置)を使って,千々和と西村は石炭および泥質変成岩中の炭質物の反射率を測定する方法を検討した結果,その方法論が確立され,具体的なデーターをうることができた。千々和によって多くの測定がなされ,現在検討中である。 2.西村は琉球孤を含む西南日本内帯の付加体(広域変成帯を含む)を調査・検討し,数多くの炭質物d_<002>値とK-Ar年代を測定した。九州西部地域の成果は日本地質学会(1996)で報告され,さらに野母半島地域に関する新知見を含む三郡帯の地体構造区分と広がりはJournal Metamorphic Geology(1998)に印刷されている。中琉球孤の付加体に関する成果については,今後さらに検討し,公表する計画である。 3.今岡と西村は須佐地域の接触変成帯および火成活動史について,日本地質学会(1996)で報告し,岩鉱(1997)に論文を発表した。また,両名は中琉球孤の奄美大島から渡名喜島にかけて散在する花崗岩類を調査し,地質学的・岩石学的検討とともに10試料のK-Ar年代を測定し,重要な新知見をえた。この成果についても,今後さらに検討し,公表する計画である。 4.板谷は西村および今岡との共同研究で,多数のK-Ar年代測定に協力した。また,板谷は炭質物のX線ピークについての成果を,The Island Arcs(1997)に発表した。 5.西村と板谷はニュージーランドの付加体についても,有用でかつ十分な成果をえた。この成果は現在執筆中であり,まもなく公表できる予定である。
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