研究概要 |
本研究の目的は介形虫類の縁辺内曲部(Vestibulum)の形態が生息環境(特に水深で代表される環境要素)と対応している事実を検証することである.そのため,縁辺内曲部の形態を観察しやすい特定種(Krithe,Cytheropteron属等)の固体数を多く集める必要がある.これまでに日本周辺海域に産出する介形虫類を顕微鏡下で抽出し,これらのうち,特定種の生息分布を明らかにすると同時に,それらの生息地点の環境要素を抽出し,種ごとに共通する各種の環境要素との対応性を解析した. 縁辺内曲部の機能形態を考察するために,それらの変異を含む形態的特徴を解析,体系的に分類可能であることがわかった.種により生息水深に差のあることも判明し,種ごとの縁辺内部の立体的構造をSEMを用いた観察から,外・内殻間に生じている空間の相異が変異としてとらえられた. これらの形態と環境との直接の関係は,未だ解決していない.日本周辺海域のCytheropteron属,Aurila属の分類に応用できた.また,飼育実験についてはXestoleberis属,Ishizakiella属について飼育法がほぼ確立した.これらの成果に基づいて,種間関係をmtDNA解析によって一部検証できた.
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