研究概要 |
砕屑物の粒度組成を決定する水理条件や,同じ運搬様式で運ばれる砕屑物集団の粒度組成を,大阪大学にある造波装置付循環水路や粒度分析装置を用いて実験的に解明することを目的としている.そしてこの実験結果を,砕屑物に適用して,地層から水理条件を推定する. 7年度の実験では,一方向流のマイクロデルタ,リップル,平滑床で行った.高精度の流速計の導入で,質の高い実験が可能になった.その結果,オリナルな物質(実験に使用した砂)の粒度組成が,堆積物の粒度組成を基本的には支配していること,オリジナルの組成で堆積物の組成を規格化すると,同じパターンになることなどが確認できた.特に,浮流する粒子群では,特定の粒度のものが選択的に多く含まれることはなく,粒度の存在比は初めの粒度分布と同じであること,さらに,なだれ落ちる粒子群や躍動する粒子群はごく短い移動でも,粒度分布を変化させることがわかった. また,7年度には乱泥流についても同じ実験を行った.乱泥流の中での粒度分布を知ることは,大きな意味がある.それは,乱泥流の堆積物であるタ-ビダイトが世界各地の造山帯に厚く分布し,わが国でもさまざまな時代の地層から広く見られるからである.乱泥流でも一般の流れ同様のことが成り立つ場合と,そうでない場合があることがわかった.今後,データの集積をしてさらなる解析を試みる.
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